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土地税制改正のポイント--21年9月号 -2009年8月5日 

  9月の税務と労務

国 税/
8月分源泉所得税の納付         9月10日

国 税/7月決算法人の確定申告
      ( 法人税 ・ 消費税等 )          9月30日

国 税/1月決算法人の中間申告         9月30日

国 税/10月、1月、4月決算法人の消費税等の中間申告
      ( 年3回の場合 )             9月30日


  〜 ワンポイント 〜   国民の休日に挟まれた日は「休日」
     日本の祝日を定めている 「 国民の祝日に関する法律 」 によれば、 「 その前日及び翌日が国民の
   祝日である日 ( 国民の祝日でない日に限るは、休日とする ) 」 と定めています。暦の関係で本年9月
   がこれに該当し、21日の敬老の日 ( 9月の第3月曜日 ) と23日の秋分の日 ( 秋分日 ) に挟まれた
   22日が休日になっています。



  
平成21年、22年に取得した場合に2つの特例  土地税制改正のポイント
   土地取引が急減し、景気悪化の一因とされていることから、景気回復期間中に土地需要を喚起する
  ための特別措置として次の2つの制度が平成21年度税制改正で創設されています。

   
1. 長期譲渡所得の1千万円特別控除
      個人が、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得をした国内にある土地等
    で、その年1月1日において所有期間が5年を超えるものの譲渡をした場合には、その年中の当該
    譲渡に係る譲渡所得の金額から1千万円 ( 当該譲渡所得の金額が1千万円に満たない場合には、
    当該譲渡所得の金額 ) が控除されます。
      例えば、図表1に示すように平成21年9月に3千万円で取得した土地を5年を超えて所有した後、
    27年2月に4千万円で譲渡したとすれば、1千万円の譲渡益が発生することになりますが、今回の
    措置により、特別控除1千万円が控除され、譲渡所得は生じないことになります。
      この場合、譲渡所得が生じないとしても、所得税確定申告書にその旨の記載及び証明書類の
    添付が必要となります。
      なお、法人についても、同様の措置が講じられていますが、土地等が棚卸資産である場合には、
    特例の適用はありません。

    
図表 1



   
2. 先行取得をした場合の課税の特例
      平成21年1月1日から平成22年12月31日までの期間内に土地等を取得した法人については、
    その土地等の取得価額を限度として、その取得の日を含む事業年度終了の日後10年以内に他の
    土地等を売却して譲渡益が発生しても、譲渡益の80% ( 平成22年に取得した土地等のみの場合
    については60% ) を取得価額から減額することで圧縮記帳し、課税を繰り延べることができる特例
    制度が創設されました。
      この特例を適用するためには、取得日を含む事業年度の確定申告書の提出期限までにこの特例
    の適用を受ける旨の届出書を提出しなければなりません。
      個人事業者についても同様の措置が手当てされていますが、個人事業者・法人とも土地が棚卸
    資産である場合には、特例の適用はありません。

    【 設例 ・ 図表2の解説 】
      平成25年度のB土地譲渡益20億円は、4億円に圧縮されていますが、これはあくまで課税の
    繰り延べですから、A土地を売却した場合には、その時点で繰り延べされた譲渡益に対して課税が
    行われることになります。
      もし、平成30年にA土地を購入時と同じ25億円で売却したとすれば、A土地の税務上の帳簿
    価額は圧縮後の9億円となっているので、16億円の譲渡益が発生します。
      なお、圧縮記帳の方法としては、@帳簿価額を損金経理によって減額する方法と、A帳簿価額
    を減額することに代えて積立金として積み立てる方法、のいずれかによることとされています。

        
≪ 設 例 ≫
          甲社 ( 10月決算法人 )
           ・ 平成21年7月にA土地取得 ・・・ 取得価額25億円
           ・ 平成21年10月期の申告書提出期限 ( 平成21年12月末日 ) までに、
             特例の適用を受ける旨の届出書を提出
           ・ 平成25年5月にB土地 ( 帳簿価額10億円 ) を売却
                             ・・・ 売却価額30億円 ( 譲渡費用0円 )
           ・ 平成25年10月期におけるB土地の譲渡益 ・・・ 30億円 - 10億円 = 20億円
           ・ 圧縮限度額 ・・・ 20億円 × 80% = 16億円
           ・ 圧縮後のB土地の譲渡益 ・・・ 20億円 - 16億円 = 4億円
           ・ A土地の圧縮額 ・・・ 取得価額25億円 > 16億円 ∴ 16億円
           ・ A土地の圧縮後の帳簿価額 ・・・ 25億円 - 16億円 = 9億円

    
図表2





   個人が上場株式等に係る配当を受けた場合


      現在、上場株式等に係る配当所得の課税については、次のような選択が可能となっています。
        @ 総合課税または申告分離課税により確定申告をすること。
        A 確定申告不要制度により確定申告をしないこと。
      総合課税とは、給与所得などの他の所得と合算して各人の所得金額に応じて5%から40%の
    累進税率で所得税を計算する方法です。総合課税の場合、一定の場合を除き配当控除の適用を
    受けることができます。
      申告分離課税とは、給与所得などの他の所得とは分離して、配当所得(大口株主等が受ける
    ものを除く)のみに対して所得税7%(地方税3%)の税率により所得税を計算する方法です。
      平成21年分以後の所得税の確定申告では、申告分離課税を選択した場合、申告した上場
    株式等に係る配当所得の金額から上場株式等に係る譲渡損失の金額を控除することができること
    となりました。
      つまり、上場株式等に係る配当所得と譲渡損失の損益通算が可能となり、配当所得につき源泉
    徴収された所得税を精算することができるのです。
      また、平成22年分からは一定の手続きをとることにより、特定口座内での配当と譲渡損失の損益
    通算が可能となります。
      確定申告不要制度とは、大口株主等が受ける配当を除いては、その配当所得について確定申告
    自体をしなくてもいいというものです。
      いずれの方法を選択するかは各人の任意ですので、上場株式等に係る配当を受け、売買による
    譲渡損失があるなどの場合にはとるべき選択により税負担が変わってきますので、総合的にとらえ、
    過大な税負担とならないようにしましょう。



   裁判員に支給される旅費、日当等に対する課税の取扱い


      本年5月より開始している裁判員制度ですが、選任された裁判員等に支給される旅費、日当、
    宿泊料に対する課税は以下のように取り扱われます。
      裁判員等に対して支給される旅費、日当等については、その合計額が雑所得に係る総収入金額
    となり、実際に負担した旅費、宿泊料、その他出頭するのに直接要した費用の額の合計額が雑所得
    の金額の計算上必要経費に算入されます。
      ちなみに、給与を1か所から受けているサラリーマンの方(収入金額が2千万円)で給与所得、
    退職所得以外の各種の所得金額の合計額が20万円以下の場合、もともと確定申告をする必要は
    ありませんので、裁判員等による雑所得等が20万円を超えない限り、従来通り年末調整により課税
    関係が終了し、あえて確定申告をする必要はありません。



   仮決算による中間申告にかかる未払事業所税

    本決算において、製造原価のうちに申告期限が到来していない事業所税を未払計上した場合
      には損金算入が認められていますが、この取扱いは仮決算による中間申告でも適用できますか。

    適用できます。
        事業所税は給与総額と建物床面積を課税標準としており、費用と収益の対応を考慮し、原価
      算入分の未払計上を認めています。
        仮決算による中間申告は期首から6カ月の期間を1事業年度とみなして所得計算をすること
      から、本決算同様にこの期間に対応する事業所税相当額の未払計上をしたときは、損金算入が
      認められます。


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