5月の税務と労務
国税 |
4月分源泉所得税の納付 |
5月10日
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国税 |
3月決算法人の確定申告(法人税・消費税等)
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5月31日
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国税 |
9月決算法人の中間申告 |
5月31日
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国税 |
6月、9月、12月決算法人の消費税の中間申告 |
5月31日
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国税 |
個人事業者の消費税等の中間申告 |
5月31日
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国税 |
確定申告税額の延納届出による徴収猶予税額の納付 |
5月31日
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国税 |
特別農業所得者の承認申請 |
5月15日
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地方税 |
特別土地保有税の申告・納付 |
5月31日
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地方税 |
自動車税・鉱区税の納付 |
都道府県条例で定める日
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労務 |
労働保険料(概算・確定)申告書の提出 |
5月22日
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労務 |
労働保険料(全期・1期分)の納付 |
5月22日
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国税庁の機構改革
来年1月から国税庁の機構が、所得税かは個人課税課、法人税課は法人課税課というように、税目別から納税者別になります。平成3年に次ぐ機構改革で、各課に共通する消費税や資料情報収集の事業連絡を行う課税総括課が新設され、資料調査課は廃止消費税課は消費税室と改称され、課税総括課に組み込まれます。 |
取引相場のない株式の評価方法が昭和47年以来、28年振りに抜本改正されました。中小企業の事業承継に配慮したものなのでポイントを押さえておきたいものです。
なお、改正後の新しい算式を適用し、改正前と比べてどれだけ株式の評価額が変わるかをみれば、今回の改正の効果がよくわかると思います。
1.取引相場のない株式(未公開会社の株式)の評価の流れ | 取引相場のない株式の評価は、株式の取得者が会社に対する経営支配権を有するかどうかによって、その評価方式が異なります。
経営支配権を有する者が取得した株式については、評価する会社の規模区分に応じて、その評価方法が異なります。これに対し、経営支配権のない者が取得した株式については、会社の規模区分とは関係なく会社の配当実績により評価されます。
以上を図示すると図表1のようになります。
なお、純資産価額方式では、含み資産が多くなるほど評価額は高くなります。
図表1
1.株式取得者の区分
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↓ |
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↓ |
2.会社規模区分の判定
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↓ |
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3.特定会社(資産に占める土地や株の割合が高い会社)の判定
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↓ |
↓ |
4.評価方式の決定
類似業種比準価額方式
純資産価額方式
併用方式 |
純資産価額方式 |
配当還元方式 |
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会社規模区分の判断要素のうち小会社の従業員数基準が、10人以下→5人以下となります。
(注)これにより6人以上の会社では、中会社の小となる可能性が増え、類似業種比準価額のウェイトが高まります。(図表2参照)。
図表2
会社区分 |
評 価 方 式 |
大会社 |
類似業種比準価額と純資産価額の低い方 |
中会社 |
大 |
類似業種比準価額×0.90+純資産価額×0.10と
純資産価額の低い方 |
中 |
類似業種比準価額×0.75+純資産価額×0.25と
純資産価額の低い方 |
小 |
類似業種比準価額×0.60+純資産価額×0.40と
純資産価額の低い方 |
小会社 |
類似業種比準価額×0.50+純資産価額×0.50と
純資産価額の低い方 |
図表3のように「収益要因」の重視により「資産要因」のウエイトが引き下げられ、従来と比較し、利益率の高い会社は株価がより高く、利益率の低い会社はより低くなります。
また、従来は上場企業(標本)と対象会社とを比準調査した後、一律に7割に減額していたものを、大会社7割、中会社6割、小会社5割と減額幅を変更したことも大きな配慮となっています。
図表3
(改正前)
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株 価 |
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|| |
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類似業種株価 |
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× |
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配当比準値+利益比準値+純資産(簿価)比準値
3 |
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× |
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減額率 |
|
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⇒ |
(改正後)
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株 価 |
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|| |
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類似業種株価 |
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|
× |
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配当比準値+3×利益比準値+純資産(簿価)比準値
5 |
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× |
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減額率 |
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注)比準値:対象会社と上場企業(標本)のそれぞれの一株当たりを比較した比率
従来、純資産価額方式によることとされている、いわゆる「二要素ゼロの会社(類似業種基準価額方式の各比準要素のうちに要素がゼロである会社)」の株式評価について、類似業種比準価額方式との併用が認められるようになりました。
ただし、会社の規模にかかわらず次の算式により、評価することになります。なお、三要素がゼロの場合には、純資産価額方式により、評価されます。
(設例) つぎの資料から改正前と後の類似業種比準価額を算定してみよう。
【評価会社のデータ】
@規模 小会社
A1株当たりの資本金額
B1株当たりの年配当金額B
C1株当たりの年利益金額C
D1株当たりの純資産価額D |
50円
2円
27円
133円
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【類似業種の株価等】
E株価
課税時期以前3ヶ月間の各月平均株価のうち最も低いもの 340円
前年平均株価 304円
F1株当たりの年配当金額b 3円
G1株当たりの年利益金額c 19円
H1株当たりの純資産価額d 212円 |
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設例では、一株当たりの年利益金額が、類似業種により評価会社のほうが相対的に高いので株価の上昇要因が高くなりますが、減額率が小会社のため0.5となったことにより、下がっています。
比
準
割
合
の
計
算 |
区 分 |
1株(50円)当たりの
年配当金額 |
1株(50円)当たりの
年利益金額 |
1株(50円)当たりの
純資産価額 |
比準割合 |
評 価
会 社 |
B |
2円 |
00銭 |
C |
27円 |
D |
133円 |
B/b+C/c+D/d
3 |
類 似
業 種 |
b |
3円 |
00銭 |
c |
19円 |
d |
212円 |
比 準
割 合 |
B/b |
0.66 |
C/c |
1.42 |
D/d |
0.62 |
0.90 |
1株(50円)当たり
の比準価額 |
平均株価304円×比準割合0.90×減額率0.7 |
191円 |
50銭 |
↓
比
準
割
合
の
計
算 |
区 分 |
1株(50円)当たりの
年配当金額 |
1株(50円)当たりの
年利益金額 |
1株(50円)当たりの
純資産価額 |
比準割合 |
評 価
会 社 |
B |
2円 |
00銭 |
C |
27円 |
D |
133円 |
3×
B/b+C/c+D/d
5 |
類 似
業 種 |
b |
3円 |
00銭 |
c |
19円 |
d |
212円 |
比 準
割 合 |
B/b |
0.66 |
C/c |
1.42 |
D/d |
0.62 |
1.10 |
1株(50円)当たり
の比準価額 |
平均株価304円×比準割合1.10×減額率0.5 |
167円 |
20銭 |
@ 類似業種の株価は、課税時期の属する月、その前月、その前々月、前年平均の四つの株価のうち最も低い金額を使用します。
A 類似業種の株価及び一株当たりの「配当金額」「年利益金額」「純資産価額」の数値は、国税庁から公表される数値を使用します。
B 評価会社の「一株当たり配当金額」は、直前期末以前2年間の配当実績で計算します。なお、この配当金額については非経常的な配当金額は差し引かれます。
C 評価会社の「一株当たり年利益金額」は、法人税の課税所得金額に基づき計算します。
D 評価会社の「一株当たりの純資産価額」は、評価会社の資本金、資本積立金、利益積立金の合計額です。
※適用は、今後の国税庁通達により明らかになりますが、本年1月以後の相続等からとなる予定です。
Q 私の父は現在、借地の上に建物を所有しています。
この度、地主から底地を買い取ってほしいとの申し出がありましたが、父は高齢で無職のため、私が底地を買い取ろうと考えています。親子の間ですから、父から地代をもらうつもりはありませんが、税務上の問題はないでしょうか。
A 借地権の目的となっている土地を、その借地権者以外の者が取得し、土地の使用の対価として地代の授受が行われないこととなった場合には、その土地の取得者は借地権者から、その土地に係る借地権の贈与を受けた者として取り扱うこととされており、贈与税が課税されることになります。
ただし、その土地の使用の対価として地代の授受が行われないこととなった理由が、使用賃借に基づくものでないとして、その土地の取得者が借地権者との連署によって所轄税務署長に「当該借地権者は従前の土地の所有者との間の土地の賃貸借契約に基づく借地権者としての地位を放棄していない」旨の申出書を提出した場合には、借地権の贈与はなかったものとして取り扱われます。
したがって、ご質問の場合については、「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」に、あなたとお父様が連署して、あなたの住所地の所轄税務署長に提出すれば、贈与税は課税されないことになります。
なお、土地の使用の対価として地代の授受が行われないこととなった場合には、例えば、土地の固定資産税相当額以下の金額の授受がある場合も含まれます。
また、借地権者が死亡した場合には、その借地権は相続税の課税財産とされることになりますから、将来お父様が亡くなった場合には、その借地権は相続税の課税対象になります。
固定資産税の課税標準である価格(評価額)に不服がある場合には、市町村(東京都特別区においては東京都)に設置された固定資産評価審査委員会に対して審査の申し出をすることができます。
審査の申し出の期間については、昨年度までは、固定資産課税台帳の縦覧期間の初日からその末日後10日までの間とされていました。そのため、縦覧に出向かないと納税通知書を受け取ってからでは審査の申し出が間に合わないことになっていました。
今年度からは、地方税法の改正により、審査の申し出期間が、固定資産課税台帳の縦覧期間の初日から、納税通知書の交付を受けてから30日までの間に延長されましたので、縦覧に出向かなくても審査の申し出をすることができるようになりました。
なお、審査の決定になお不服がある場合には、裁判所に提訴することもできます。
★税金一口メモ★ 短期前払費用
3月決算の法人が、例えば1月に1年分の保険料を前払いした場合には、期間対応の考え方からいけば、当期の損金に算入されるのは支払った保険料のうち3ヶ月分となり、残りの9か月分は前払費用(一定の契約に基づき継続的役務の提供を受けるために支出した費用のうち、当該事業年度終了のときにおいてまだ提供を受けていない役務に対応するもの)として繰り延べ、翌期の損金に算入されることになります。
ただし、その支払った日から1年以内に提供を受ける役務にかかるもので、その支払った額を継続して支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、支払った事業年度で一括して損金算入が認められることになっています。
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