☆ 祖父江修一税理士事務所 ☆

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2000年7月

 

ワンポイント 法定外目的税
 4月から施行されて地方分権一括法で新設された地方税。国との事前協議を経れば、地方自治体が特定の政策目的のため、独自の判断で条例を定め課税することができます。これに対して、東京都が大手銀行をターゲットに4月に導入した外形標準課税は、地方税法の既存の特例規定を利用したものです。

Q&A 青色申告 (所得税を中心に)

 わが国に申告納税制度が採用されたのは昭和22年ですが、正確な帳簿の推奨策として昭和25年に青色申告制度が設けられ今日に至っています。
 最近話題のパソコン減税も青色申告が条件であり、青色申告特別控除も本年の税制改正により、増額となるなど注目されています。この青色申告のポイントを、所得税を中心にQ&Aで、整理してみます。
Q1.青色申告の承認申請はいつまでに行えばよいのですか。

A.
 
不動産所得、事業所得または山林所得を生ずべき業務を行う者は、納税地の所轄税務署長の承認を受けた場合には、青色の確定申告書を提出することができます。
 そして、その年分以後の各年分の所得税について、その承認を受けようとする者は、その年3月15日まで(その年1月16日以後新たにこれらの業務を開始した日から2ヶ月以内)に、申請書を税務署長に提出することとされています。
 たとえば、平成12年分の所得税から青色にしたい場合は、すでに本年3月15日までに申告書を提出していないと、本年の申告(平成12年分)については、青色の承認を受けられないことになります。
 なお、青色申告の承認を受けていた被相続人の業務を相続したことにより、新たに不動産所得、事業所得または山林所得を生ずべき業務を開始した相続人が提出する青色申告の承認の申請書については、その被相続人についての所得税の準確定申告書の提出期限までに提出して差し支えないこととされています。

Q2.帳簿書類は何年間整理・保存すればよいのですか。

A.
 青色申告者は、表に掲げる帳簿及び書類を整理し、7年間(5年間)これをその者の住所地等に保存しなければなりません。

青色申告者が備えつけるべき帳簿書類

保 存 期 間

小規模個人

その他個人

帳                簿

現金出納帳
固定資産台帳
売掛帳、買掛帳、経費帳等
7年間 7年間

決  算  関  係  書  類

損益計算書、貸借対照表、棚卸表等

@ 現金の収入・支出・預貯金の預入・引出しに際して作成された書類

領収証、小切手控、預金通帳、借用証等 5年間
A 有価証券の取引に際して作成された書類 有価証券受け渡し計算書、社債申し込み書等 5年間
B @、A及びC以外の書類 請求書、注文請書、契約書、見積書、仕入伝票等
C 棚卸資産の引渡し、受け入れに際して作成された書類 納品書、送り状、貨物受領証、出入庫報告書、検収書等
Q3.青色申告の特典としてはどのようなものがありますか。

A.
 所得税の青色申告の特典として主なものは次のとおりです。

(1)棚卸資産の評価関係
 棚卸資産の低価法による評価の選択

(2)償却関係
@ 電子機器利用設備を取得した場合等の特別償却
A 中小企業者が機械等を取得した場合等の特別償却
B 特定設備等の特別償却
C 中小企業者の機械等の特別償却
D 特別情報通信機器の特別償却(パソコン減税)
E 障害者を雇用する場合の機械等の割増償却
F 通常の使用時間を超えて使用される機械及び装置の償却費の特例

(3)引当金・準備金関係
@ 貸倒引当金の設定
A 退職給与引当金の設定
B 各種準備金の積立

(4)所得の特別控除関係
青色申告特別控除

(5)その他の所得計算の特例
@ 青色事業専従者給与の必要経費算入
A 必要経費に算入される家事関連費
B 現金主義による所得計算

(6)税額控除その他
@ 試験研究費の額が増加した場合等の所得税額の特別控除
A 純損失の繰越控除(3年)
B 更正の制限・理由付記

 なお、法人の場合も青色申告の特典として、特別償却や各種準備金、欠損金の繰越控除(5年)、更正の制限・理由付記等が同様ですが、相違点として引当金が青色申告要件でないほか、青色申告特別控除のようなものは法人にはありません。

Q4.青色申告特別控除制度が改正されたそうですが、どのような見直しがされましたか。

A.
 青色申告特別控除制度は、正確な記帳により事業経営の健全化を図ることを目的に昭和47年に創設され、平成5年からグレードアップして、「その所得に係る資産、負債および資本に影響を及ぼす一切の取引を正規の簿記の原則に従い、整然と、かつ、明瞭に記録し、その記録に基づき貸借対照表や損益計算書を作成する」場合は、控除額を10万円に変えて35万円に改めました。
 平成10年には、35万円を45万円に引き上げましたが正規の簿記によらず簡易な記帳方式にも認めていました。
 今回、平成12年度の改正では、「正規の複式簿記は55万円」、「簡易な記帳方式は45万円」と区分されました。
 この結果、青色申告特別控除には3種類考えられます。
@ 従前の青色申告者…10万円
A 簡易な簿記の青色申告者…45万円
B 正規の複式簿記の青色申告者…55万円

 なお、簡易式の簿記によるものは、平成14年までの時限立法となっており、いずれ廃止の方向が考えられますので、簡易簿記の方は安価な会計ソフトの普及により、簿記の知識がなくても仕訳帳や総勘定元帳が作成でき、複式簿記に基づいて損益計算書や貸借対照表も作成できますので、早めに移行したほうがよさそうです。

Q5.白色申告だと記帳義務はないのですか。

A.
 次のように白色でも記帳義務はあります。
 その年において不動産所得、事業所得または山林所得を生ずべき業務を行う者で、その年の前々年分または前年分のこれらの所得金額の合計額が300万円を超えるものは、帳簿を備え付けて、これらにこれらの業務に係るその年の取引のうち総収入金額及び必要経費に関する事項を、大蔵大臣の定める簡易な方法により記録し、かつ、その帳簿を7年間保存しなければなりません。
 したがって、同じ記帳するなら青色申告で記帳したほうが多少記載事項が多くても、特典もあり効果的といえます。

 

寡婦(寡夫)控除
 

 所得税の寡婦(寡婦)控除の内容について教えてください。

 所得税の計算において、納税者本人が、寡婦または寡夫である場合には、総所得金額等から27万円(特別な寡婦については35万円)を差し引くことができます。これを寡婦(寡夫)控除といいます。

 寡婦とは、次のいずれかに該当する人で、老年者(65歳以上で合計所得金額が1千万円以下である人)に該当しない人を言います。

@ 夫と死別・離別後婚姻していない人、または夫の生死が不明である人で扶養親族または同一生計の子(合計所得金額が38万円以下のもの)を有している者

A 夫と死別後結婚していない人、または夫の生死が不明である人で合計所得金額が500万円以下である者

 寡夫とは、妻と死別・離別後婚姻していない人または妻の生死が不明である人で同一生計の子(合計所得金額が38万円以下のもの)を有しており、合計所得金額が500万円以下である者をいいます。

 なお、寡婦または寡夫に該当するかどうかの判定は、その年の12月31日(その人が年の途中で死亡しまた出国する場合には、その死亡または出国のとき)現在の現況によって行うことになっています。
 年の途中で夫または妻と死別した妻または夫で、その年において寡婦または寡夫に該当する者については、その者が死別した夫または妻について配偶者控除の適用を受ける場合であっても、寡婦(寡夫)控除の適用を受けることができます。

 

 
永年勤続者の記念品

 福利厚生施策の一環として永年勤続社員の表彰制度を設けている会社も多いと思います。通常は表彰に伴って記念品等の支給が行われますが、その経済的利益に対して所得税が課税されるかどうかが問題となります。
 永年勤続した役員または使用人の表彰にあたって、その記念として旅行、観劇等に招待し、または記念品を支給する場合でも、次の要件を満たせば所得税は課税されません。

@ その利益の額が、その役員または使用人の勤続期間等に照らし、社会通念上相当と認められること

A その表彰が、おおむね10年以上の勤続年数の者を対象とし、かつ2回以上表彰を受ける者については、おおむね5年以上の間隔をおいて行われるものであること

 ただし、旅行、記念品等に代えて現金や商品券を支給した場合には、給与・賞与として所得税が課税されることになりますから注意する必要があります。

 

税金一口メモ
 相続税の贈与税額控除

 相続税の計算上、相続または遺贈によって財産を取得した人が、その相続開始前3年以内にその被相続人から贈与によって財産を取得していた場合には、その贈与財産の額を相続財産に加算して相続税額を計算することになっています。
 その贈与については、贈与時に贈与税が課税されている場合には、同一の財産に対する相続税と贈与税の二重課税を排除するために、その贈与課税額(延滞税、利子税、加算税は除きます)については、贈与税額控除として、その人の相続税額から控除することになっています。
 なお、相続税額よりも控除されるべき贈与税額のほうが大きい場合でも、その超過部分が還付されることはありません。

 

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