☆ 祖父江修一税理士事務所 ☆

[ ホーム ] [ 税務だより ] [ ザ☆経営 ] [ 業務内容 ] [ 連絡先・周辺地図 ]

2000年8月

 

ワンポイント クロス取引
 同一銘柄の上場株式を証券会社を通じて売却し、翌日に再び買い戻すこと。平成13年4月以降、上場・店頭株式は申告分離課税に一本化されますが、3月末までは源泉分離課税の対象とすることができます。この間にクロス取引により買い戻した株式の購入価格は、その後の譲渡の際の取得価額になります。

ぜひとも活用したい   贈与税の配偶者控除

 婚姻期間が20年以上ある配偶者への居住用財産の贈与については、基礎控除60万円のほかに、2000万円の控除があります。
この特例は、生前贈与の優等生であり、メリットばかりでデメリットはほとんどないので、必ず実行したい対策といえます。以下のポイントを整理してみます。
1.制度の趣旨

 配偶者間の贈与については、@同一世代間の贈与であること A贈与の認識が概して希薄であること及びB夫婦の死亡後における生前配偶者の生活の基盤の安定を考慮して、居住用財産に限り、贈与税の課税価格から2000万円の控除が認められています。

2.適用要件

 次の4つがあります。

1 婚姻期間が20年以上ある配偶者からの贈与であること。

 婚姻期間が20年以上であるかどうかは婚姻の届出があった日から贈与のひまでの期間により計算します。したがって、入籍されていない期間は婚姻期間に含まれません。
 また、婚姻期間に1年未満の端数があるときは、その端数は切捨てます。たとえば、19年11ヶ月であっても配偶者控除の適用は受けられませんので注意が必要です。

2 対象は、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与であること

【居住用不動産そのものの贈与を受けた場合】
 居住の用に供するためであれば、敷地のみ、家屋のみ、また敷地と家屋のセットでも、いずれの場合でも特例が認められます。
 なお、店舗併用住宅等については、次のように取り扱われます。
店舗併用住宅のケース
 取得した不動産が下図のように、専ら居住の用に供している部分と居住のよう以外に供されている部分とがある場合には、居住の用に供している部分だけが対象となります。
 なお、この場合において、居住の用に供している部分の面積が、その土地等または家屋の面積のそれぞれおおむね90%以上であるときは、その土地等または家屋の全部を居住用不動産とすることができます。

居 室(60u)

居住用不動産は
店 舗(90u) 居室…60u
敷 地(200u) 敷地…200u×60u/(60u+90u)=80u

【居住用不動産を取得するための金銭の譲与を受けた場合】
 その金銭を持って、その贈与があった年の翌年3月15日までに居住用不動産を取得することが必要です。

3 贈与を受けた年の翌年3月15日までに受贈者の居住の用に供し、かつ、その後引き続き居住の用に供する見込みであること

4 過去に、今回の贈与者からの贈与について、控除の特例の適用を受けていないこと

 

3.効果

 居住用不動産を贈与する場合、贈与税の計算の基礎となる金額は相続税評価額といって、おおむね時価相当額の60〜70%程度で評価されます。したがって、現金贈与であれば2060万円でも、土地・建物ならば時価で3000万円程度の贈与が非課税で、できる計算になります。
 また、相続開始時には、3年以内の贈与財産は相続税の計算に組み込まれるという規定がありますが、この特例を適用した夫婦間の贈与については、計算に組み込まれないこととされています。

4.申告手続等

1 贈与税の申告書提出

 贈与税の配偶者控除の適用を受けることによって、贈与税が課税されないこととなる場合であっても、贈与税の申告書を提出する必要があります。
申告書に、@贈与税の配偶者控除の適用を受ける旨、A配偶者控除の明細、B過去に配偶者控除の適用を受けていない旨を記載するようになっています。

2 添付書類

 贈与税申告書には次の4つの添付書類が必要です。
@贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本または抄本
A贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附表の写し
B贈与を受けた不動産の登記簿の謄本または抄本
C贈与を受けた不動産を居住の用に供した日以後に作成された住民票の写し

5.費用等

1 登録免許税
 固定資産税評価額(土地については3分の1に軽減)の2.5%に相当する登録免許税がかかります。

2 不動産取得税
 固定資産税評価額(土地については2分の1に軽減)の3%に相当する不動産取得税がかかります。
ただし、土地・家屋とも減額措置があるので、課税されないケースもあります。

 
住宅取得資金貸付

  会社が従業員に対して、福利厚生施策の一環として、住宅取得資金を無利息又は一般の金融機関より安い金利で貸し付けることがありますが、その際の経済的利益に対する所得税の課税関係に注意する必要があります。
 住宅等の取得に要する資金に当てるため、会社からその資金の貸付をその使用人である地位に基づいて無利息または低利息で受けた場合の経済的利益については、従業員が年利1%以上を負担していれば、課税されないこととされています。
 ただし、この規定は従業員に対するものですから、会社の役員や役員の親族については、適用はありません。
 また、無利息または年利1%未満の低利息での貸付を受けた場合には、年利1%との差額部分については、給与所得として課税されることになり、源泉徴収の対象にもなりますから気をつけてください。

 

税金一口メモ
 介護保険料の控除

 4月から介護保険制度がスタートし、第二号被保険者(40〜64歳)から介護保険料の徴収が始まっています。また、第一号被保険者(65歳以上)については10月から介護保険料の徴収が始まります。
 これからの介護保険料については、所得税の計算上、健康保険料や厚生年金保険料など同様に社会保険料控除の対象になります。
 したがって、本人または同一生計親族が負担することになっている介護保険料を支払ったり、給料から天引きされた場合には、その全額を総所得金額等から控除することができます。
 なお、社会保険料控除の対象になるのは、その年中に実際に支払った(天引きされた)介護保険料の額となります。

 

HOME

MAIL