税金を軽減・免除する特例措置は、そのほとんどが、いつからいつまでという期限が設けられており、期限を過ぎると特例が受けられなくなります。
ここでは、平成十三年度税制改正項目のうち、廃止・延長等されたもののなかから一般的な特例措置についてQ&A形式で整理してみます。
Q1 電子計算機の耐用年数が短縮されたそうですがいつから適用されますか。
A 適用期日には、「○月○日以後開始する卒業年度から」や「○月○日以後終了する事業年度から」という規定がありますが、開始と終了では、一年近く適用期日が違ってきます。
電子計算機の耐用年数の短縮は、平成十三年四月一日以後開始する事業年度から適用されます。
これに伴い、現在六年で償却中のパソコンも調整計算が行われます。なお、耐用年数はパソコンが四年、その他のもの(ネットワーク用のサーバー等)は五年となります。
Q2 期限切れとなる不動産の譲渡に関する契約書等にかかる印紙税の税率の特例措置はどうなりましたか。
A 不動産の譲渡に関する契約書、請負契約書については、図表1のように軽減されていますが、この適用期限が平成15年3月31日まで一年延長されています。
図表1
区分
|
課税対象額 |
本則 |
特例 |
不動産の譲渡契約書、請負契約書
|
1,000万円超5,000万円以下 |
2万円 |
1.5万円 |
5,000万円超1億円以下 |
6万円 |
4.5万円 |
1億円超5億円以下 |
10万円 |
8万円 |
5億円超10億円以下 |
20万円 |
18万円 |
10億円超50億円以下 |
40万円 |
36万円 |
50億円超 |
60万円 |
54万円 |
Q3 上場株式等に係る譲渡所得について、源泉分離課税制度が平成13年3月31日で廃止されることになっていたのですが、なぜ、さらに二年間再延長されたのですか。
A 株式譲渡益については、昭和63年12月の税制改正で、それまでの原則非課税から課税に変更されました。
しかし、@この源泉分離課税については、諸外国にも例の見られない、みなし利益への課税であること、A申告分離課税との使い分けにより税負担の意図的な軽減を図ることが可能であること、B個人住民税において源泉分離課税を選択すると非課税、申告分離課税を選択すると課税となる不公平が生じていること等から、その適正化の必要性が指摘されていました。
そして、平成11年度の税制改止において、有価証券取引税等の廃止に併せ、申告分離課税への一本化を法定化しましたが、株式市場への影響も考慮して経過措置として、平成13年3月末まで源泉分離課税が認められていました。
それが今回再延長されるに至ったのは、景気動向が不安定であり、株式市況の悪い中で源泉分離課税を廃止すると、申告に伴う事務負担感等から個人投資家の株式市場離れを招く恐れがあるとの判断が働いたのが理由のようです。
なお、現在の株式に関する課税状況をまとめると図表2のようになります。
図表2
株式の形態 |
課税方式 |
税額計算 |
上場株式(下記以外のもの) |
源泉分離 |
売却価額×1.05%(住民税は非課税) |
申告分離 |
売却益×26%
(所得税20%・住民税6%) |
売却益×26%
(所得税20%・住民税6%) |
上場後1年以内に譲渡した株式 |
上場までの保有期間3年以下 |
上場までの保有期間
3年超 |
下記以外 |
売却益×1/2×26% |
特定中小会社の株式 |
売却益×1/4×26% |
非上場株式 |
売却益×26% |
Q4 住宅を取得等した場合の登録免許税、不動産取得税の軽減措置の適用期限は、どうなりましたか。
A 次に掲げる軽減措置について、適用期限が2〜3年延長されています。
@ 住宅用家屋の登記についての軽減措置…保存0.15%、移転0.3%、抵当権設定0.1%
A 特定の住宅に係る不動産取得税の軽減措置・・・1,200万円控除
B 住宅用土地に対する不動産取得税の軽減措置…4分の1減額
C 前記B及び新築特例適用住宅用土地に対する不動産取得税の軽減措置…床面積の2倍(200uが限度)相当額の減額、についての経過年数要件を3年以内に緩和する措置
Q5 平成12年末で期限の切れることになっていた法人の土地重課の適用停止措置はどうなりましたか。
A 法人が土地等を譲渡した場合の譲渡益に対する追加課税(短期10%、長期5%)の制度、いわゆる土地重課は現在停止されていますが、この適用停止期限が3年延長され、平成15年12月31日までとなりました。
Q6 個人の土地等にかかる譲渡所得課税はどうなりましたか。
平成12年末で期限切れとなる次のものは、それぞれ3年適用が延長され、平成15年12月31日まで適用されます。
(1) 長期譲渡所得課税の税率軽減特例所有期間が、その年の1月1日において5年を超える土地等または建物を譲渡した場合には、20%(住民税は6%)の税率軽減特例措置となっています。
(2) 優良住宅地の造成等のための譲渡の課税特例・課税長期譲渡所得金額が4千万円以下の部分…15%(住民税5%)・4千万円超の部分…20%(住民税6%)
Q7 パソコン減税が廃止されましたが、平成13年3月31日までに取得したものは適用されますか。
A 青色申告書を提出する法人や個人事業者が、平成11年4月1日から平成13年3月31日までの間に、パソコンなどの特定情報通信機器を取得等して事業の用(貸付の用を除く)に供した場合には、その事業の用に供した事業年度において、即時償却でき損金(必要経費)とされました。
ここで注意したいのは、3月31日までに取得等しても、事業の用に供した日が4月1日以後であれば適用が受けられないので、ご確認下さい。
Q この度、父が亡くなりました。父は、毎年確定申告をしていましたが、死亡した年分の確定申告については、いつまでに、どのように行えばよいのでしょうか。A 年の途中で死亡した人が、その死亡した年分の所得税について確定申告をしなけれはならない場合や確定申告をしなければならない人が、その年の翌年の1月1日から3月15日までの間に確定申告書を提拙しないで死亡した場合には、その相続人が被相続人の所得について、所得税の確定申告をしなければならないことになっています。
また、還付等を受けることができる人が還付等を受けるための確定申告をしないで死亡した場合等には、その相続人が所得税の還付等を受けるための確定申告をすることができます。
これらを所得税の準確定申告といいますが、確定申告書の提出先は、相続人の納税地ではなく、死亡した人の死亡した当時の納税地の所轄税務署となりますので、注意する必要があります。
準確定申告およびそれに伴う所得税の納税については、原則としてその相続開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内に行うことになります。
準確定申告書には、相続人が複数いる場合には、原則として、確定申告書付表を添付し相続人の連名で申告することになっています。なお、付表は相続人の代表者指定届出書を兼ねています。
準確定申告により納付しなければならないこととなる被相続人の所得税額については、相続税の申告上、相続財産から控除する債務控除の対象となります。
また、準確定申告によつて還付されることとなる被相続人の所得税額については、相続財産に該当することになりますので、気をつけてください。
コンピュータのソフトウェアについては、減価償却資産(無形固定資産)に該当することとされています。 したがって取得価額を基礎として減価償却をすることになりますが、償却方法については、他の無形固定資産と同様に残存価額をゼロとした定額法によります。耐用年数は五年ですが、複写して販売するための原本と研究開発用のものは3年となります。
取得価額については、法人が他からソフトウェアを購入した場合には、その購入代価等、また外部に委託して制作したり自社で制作した場合には、制作に要した材料費や人件費等の合計額となります。
なお、他の減価償却資産と同様に少額減価償却資産(取得価額10万円未満)に該当する場合には、取得時に一括して損金算入ができますし、一括償却資産(取得価額20万円未満)に該当する場合には、3年間均等償却の適用を受けることができます。
★税金一口メモ★
物品切手等の譲渡
消費税において、物品切手等の譲渡は非課税とされています。
したがって事業者が取引先等に御中元として物品切手等を贈る場合には、その物品切手等を購入する際に支払う対価は消費税の課税仕入れには該当しません。
物品切手等とは、商品券、ビール券、図書券、旅行券、テレホンカードその他名称のいかんを問わず、物品の給付又は役務の提供に係る請求権を表彰する証書をいいます。
なお、事業者が物品切手等を購入し、自ら使用する場合には、原則としてその使用のときに課税仕人れとなりますが、継続してその物品切手等の対価を支払った日の属する課税期間の課税仕入れとしているときは、これが認められます。