☆ 祖父江修一税理士事務所 ☆

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2002年9月

 

 

目次

Onepoint 郵便振替口座

役員と同族会社間での建物賃借の留意点

遺族が受け取る年金

輸入にかかる消費税

★税金一口メモ★ 寄付金と交際費等

ワンポイント 郵便振替口座
 
法人でも個人でも利用できる郵便貯金の振替口座。預入には利子はつきませんが、国の保証があるうえ1千万円の預入限度額は適用されないことからペイオフ導入で注目を浴びています。平成14年5月末の口座残高は2兆6456億円で前年の倍増。特にこの4月に6839億円と大幅に増加したことが影響しています。


  役員と同族会社間での建物賃借の留意点

 同族会社では、会社と役員との間で建物の貸し借りをすることが多くあるようです。そこで、税務上留意すべき点を以下に整理してみます。

T 会杜が役員から 事業用建物を借りているケース  

 原則として、その建物を第三者から借りた場合に支払う通常の家賃を基に判断することになります。

1 会社側の処理

 通常の家賃であれば、そのまま損金となります。

(1)極端に低額の場合

 通常の家賃との差額が、その役員から会社に対する贈与と考えられますが、税務上は、次のように取り扱われるため、結果として損金と益金が相殺され、税務上問題ありません

(支払家賃) ×× / (受贈益) ××

(2)極端に高額の場合

 通常の家賃に比べて高い場合には、高い部分はその役員に対する報酬として取り扱われ、過大役員報酬とならないかの判定と、源泉徴収が必要になります。

2 役員側の処理

 役員が会社に建物を貸し、家賃を受け取った場合には、所得税の計算上、不動産所得となります。そして、収入金額から固定資産税などの必要経費を控除した金額が、役員報酬などの給与所得と合算されて、総合課税として所得税・住民税が計算されることになります。

(1)家賃が極端に低い場合

 個人は、実際に受け取った収入で処理するので、その低い家賃が不動産所得の収入金額となります。

(2)家賃が極端に高い場合

 通常の家賃を超える部分については、不動産所得ではなく、会社からの報酬として、給与所得の収入金額となります。


U 会社が役員に住宅を貸すケース  

 会社がその所有する建物を会社の役員に社宅として貸しているケースはよくあります。
多くの場合、通常の家賃と比べるとかなり低額になっています。
 税務上、細かな基準が設けられていますが、知らない人が多いようですので、一度点検してみてください。

1 適正な家賃の目安

 税務では、家屋の床面積等から次の三つに区分して適正な家賃の目安を示しています。

(1)通常の社宅

 通常の社宅である場合には、次の算式で計算した金額を、役員から徴収すれば問題は生じません。
なお、通常の社宅とは、床面積が132平方メートル(木造家屋以外の場合には、99平方メートル)を超え240平方メートル以下のものをいいます。

その年度の家屋
の固定資産税の
課税標準額

×12%+
 (注)

その年度の敷地
の固定資産税の
課税標準額

×6%

×1/12=通常の賃貸料月額

(注)木造家屋以外の家屋は10%

(2)小規模住宅の場合

 床面積が、132平方メートル(木造家屋以外の場合には、99平方メートル)以下の場合には、次の算式により計算します。

その年度の家屋
の固定資産税の
課税標準額

×0.2%+12円×

家屋の総床
面積(u)

その年度の敷地の
固定資産税の
課税標準額

×0.22%=通常の賃貸料月額

3.3(u)


 この算式で計算した金額は、本来一般の従業員が社宅を借りている場合の家賃の計算に適用されるものですが、役員社宅であっても、一定規模以下であるときは同様に適用が認められているものです。
 なお、(1)及び(2)については、あくまで会社が自分で所有している家屋を社宅として役員に貸した場合の取扱いです。
 もし、会社が他から借り受けて、さらに役員に転貸しするような場合には、会社が支払う賃料の50%相当額と、先ほどの算式で計算した金額のいずれか多い方の金額が、会社が役員から徴収すべき家賃となります。

(3)豪華な役員社宅の場合

 役員が社宅として借りている家屋が、@その床面積が240平方メートルを超える場合、A240平方メートル以下であっても、プールがあったり、役員個人の趣味を著しく反映した設備を有するような場合については、豪華な役員社宅として、「その社宅が一般の賃貸住宅であるとした場合に支払うべき金額」を支払う必要があります。

2 低額な家賃の取扱い

 役員が適正な家賃を支払っていれば税金の問題は生じませんが、低額すぎたり、支払っていない場合には次のように取り扱われます。

(1)会社の税務上の取扱い

 会社としては、通常受け取るべき家賃を受け取っていないということになりますので、経済的合理性を追求とする会社としては、受け取るべき家賃を役員報酬として支給したと考えます。
 同額で、損益に影響はありませんが、過大役員報酬の判定役員報酬の源泉徴収の問題があります。

(2)役員の税務上の取扱い

 適正な家賃に比べて低い家賃を支払っている場合には、その差額分が役員報酬として給与所得の収入金額に加算されることになります。よって、その金額を含めたところで所得税や住民税が計算されることになります。

<社宅家賃の計算例>

甲(株)の代表取締役Aは、同社が乙不動産会社(株)から
借受けているマンション(床面積110u)に居住している。
甲(株)が乙(株)に支払っているマンションの家賃は月30
万円であり、このマンションの本年度の固定資産税の課税標
準額は、次のとおりである。
家屋 13,000,000円
土地  4,000,000円
この場合、社宅家賃はいくらにしたら税務上問題ないか。


(解答)
@ 300,000円×1/2=150,000円

A(13,000,000円×1O%+4,000,000円×6%)×1/12=128,333円

@とAのいずれか多い額  150,000円

 

遺族が受け取る年金

 

相続が発生し、遺族が各種の年金を受け取ることとなった場合、その年金に対して、税金がかかるのでしょうか。
 遺族が受け取る各種の年金については、その年金の種類等に応じて課税関係が異なることになります。
 なお、課税関係については、相続税と所得税(住民税)の両方を考える必要があります。

 第一に、厚生年金や国民年金などの公的年金の被保険者であった人が死亡した場合には、遺族に対して遺族年金が支払われます。
 また、恩給を受けていた人が死亡した場合には、遺族に対して恩給が支払われます。
 遺族が受け取るこれらの年金や恩給に対しては、相続税も所得税も課税されません。

 第二に、在職中に死亡し、死亡退職となったため、遺族が適格退職年金契約に基づく年金、特定退職金共済団体からの年金を受け取ることとなった場合には、その年金受給権は、退職手当金として相続税の課税対象となります。
 ただし、遺族が年金受給権に基づいて毎年受け取る年金に対して、所得税はかかりません。

 第三に、税法で定められた適格退職年金の要件を満たさない年金や税法に定められた要件を満たさない特定退職金共済団体からの年金など前記以外の個人年金等について、たとえば死亡した人が保険料負担者で被保険者であり年金受取人でもある個人年金保険で、その人が年金支払保証期間内に死亡したために、相続人が残りの期問について年金を受け取ることになったような場合には、その年金受給権は相続により取得したものとみなされて、相続税の課税対象となります。

また、遺族が毎年受け取る年金に対しては、公的年金等以外の雑所得として所得税の課税対象にもなります。



輸入に係る消費税

 

 保税地域から引き取られる外国貨物、いわゆる輸入品には、原則として消費税がかかることになります。
 外国貨物を保税地域から引き取るためには、輸入許可が必要ですが、外国貨物を保税地域から引き取る者は、原則としてその引取りの時までに品名、数量、金額等と消費税額を記載した申告書を保税地域を所轄する税関長に提出し、消費税を納付しなければなりません。
 課税貨物の課税標準は、関税課税価格いわゆるCIF価格に関税の額および消費税以外の個別消費税(酒税やたばこ税など)の額を加算した合計額となります。
 なお、輸入取引については、事業者が事業として行う取引に限定されていませんから、基準期間の売上高が3000万円以下の免税事業者はもとより、一般のサラリーマン等であっても、保税地域から外国貨物を引き取る者は、消費税の納税義務を負うことになります。

 

税金一口メモ
 寄付金と交際費等

 交際費等とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者に対し、接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいいます。
 一方、寄附金とは、金銭・物品その他経済的利益の贈与又は無償の供与をいいますので、一般的に寄附金、きょ出金、見舞金などと呼ばれるものは寄附金に含まれることになります。
 ただし、これらの名義の支出であっても交際費等、広告宣伝費、福利厚生費などとされるものは寄附金から除かれますので、判定上、注意する必要があります。
 なお、社会事業団体、政治団体に対するきょ出金や神社の祭礼などの寄贈金など、事業に直接関係のないものに対する金銭贈与であれば原則として寄附金になります。
 

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