☆ 祖父江修一税理士事務所 ☆

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2003年4月

 

 

目次

Onepoint みなし取得価額

平成15年度 税制改正 Q&A

家屋の評価

共同企業体の消費税

★税金一口メモ★ 譲渡担保と譲渡所得税

ワンポイント みなし取得価額上場株式等の取得価額を、平成13年10月1日の終値の80%とみなした価額。新証券税制では、株式譲渡益を計算する場合に、一定要件のもと、みなし取得価額を採用できる特例措置が設けられていますが、国税庁では、計算に必要な平成13年10月1日における株価一覧表を、ホームページ上に掲載しています。


 平成15年度 税制改正 Q&A

 本年の税制改正は例年に比べ身近な項目が多くあります。適用のポイントをQ&Aで以下整理してみます。

 

1.相続時精算課税制度

Q.
 
創設される相続時精算課税制度の概要を教えてください。また、適用対象者はどうなっていますか。

A.
 
相続時精算課税制度とは、生前贈与について、受贈者の選択により、贈与時に贈与財産に対する贈与税を支払い、その後の相続時にその贈与財産と相続財産とを合計した価額を基に計算した相続税額から、すでに支払った贈与税を控除することにより、贈与税・相続税を通じた納税をすることができる制度です。
 この制度の適用対象となる贈与者は65歳以上の親、受贈者は20歳以上の子(代襲相続人を含む)とされています。

Q.
 
適用手続はどうなっていますか。

A.
 
この制度の選択をしようとする受贈者(子)は、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に所轄税務署長に対してその旨の届出を贈与税の申告書に添付することにより行います。
 なお、この選択は受贈者である兄弟姉妹が各々、贈与者である父、母ごとに選択できるものとし、最初の贈与の際の届出により相続時まで継続して適用されます。

Q.
 
適用対象財産の範囲はどうなっていますか。

A.
 
贈与財産の種類、金額、贈与回数等については制限がありません。

 

2.相続税の税率改正

 相続税の税率は、最高税率が70%から50%に下がり図表1のようになります。

図表1

法定相続人の取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%

0万円

3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
3億円以下 40% 1,700万円
3億円超     50%

4,700万円

 

3.贈与税の税率改正

 相続時精算課税制度の対象とならない贈与財産に係る贈与税の税率については、最高税率が相続税同様70%から50%に下がり、図表2のようになります。

図表2

基礎控除後の課税価格

税率

控除額

200万円以下

10%

0万円

300万円以下

15%

10万円

400万円以下

20%

25万円

600万円以下

30%

65万円

1,000万円以下

40%

125万円

1,000万円超    

50%

225万円

Q.
 
親以外から贈与を受けた場合の贈与税はどうなりますか。

A.
 
相続時課税制度の対象とならない贈与は一括して図表2の贈与税率を適用します。

 

4.住宅取得資金等に係る相続時精算課税制度の特例

Q.
 
特例の内容を説明してください。

A.
 
相続時精算課税制度について、自己の居住の用に供する「一定の家屋」を取得する資金又は自己の居住の用に供する家屋の「一定の増改築」のための資金の贈与を受ける場合に限り、65歳未満の親からの贈与についても適用されます。また、これらの資金の贈与については2,500万円の非課税枠(特別控除)に1,000万円を上乗せし、非課税枠が
3,500万円とされます。

Q.
 
「一定の家屋」とはどういう家屋ですか。

A.
 
次の要件を満たす家屋をいいます。

@ 新築又は築後経過年数が20年以内(一定の耐火建築物である場合には25年以内)であること

A 家屋の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する部分の床面積))50平方メートル以上であること

B その他所要の要件を満たすこと

Q.
 
「一定の増改築」とはどういうものですか。

A.
 
一定の増改築とは、その者が所有する家屋について行う増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替その他の工事で次の要件を満たすものをいいます。

@ 増改築の工事費用が100万円以上であること

A 増改築後の家屋の床面積(区分所有の場合にはその区分所有する部分の床面積)が50平方メートル以上であること

B その他所要の要件を満たすこと

5.土地住宅税制

Q.
 
土地売買に伴う登録免許税は5分の1と激減したのですか。

A.
 
従来は、課税標準を固定資産課税台帳の登録価格の3分の1とする特例があったため、名目5%ですが、実質はその3分の1の1.67%ぐらいでした。
 今回の改正では、平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間の措置として1%になりますので、下がりますが、その後2%になりますので、ご質問ほどの変化はありません。

Q.
 
住宅ローン控除の適用が緩和されたそうですが内容を教えて下さい。

A.
 
住宅の取得等をして住宅ローン控除の適用を受けていた居住者が、勤務先から転勤の命令その他これに準ずるやむを得ない事由によりその住宅を、平成15年4月1日以後に居住の用に供しなくなった後、その事由が解消し、再びその住居に入居した場合には、一定の要件の下で、住宅ローン控除の適用年のうちその者が再入居した年以後の各適用年について、住宅ローン控除の再適用を受けることができるようになります。

6.個人所得課税

Q.
 
配偶者特別控除は完全に廃止されるのですか。

A.
 
配偶者控除に上乗せして適用される部分が廃止となっただけで、配偶者控除に替って調整される部分の配偶者特別控除は存続しています。
 なお、この改正は平成16年分以後の所得税について適用されます。

 


家屋の評価

 

Q.
 
相続税や贈与税の課税価格を計算する際に、家屋の評価はどのように行なえばよいのでしょうか。

 

A.
 家屋の評価は、原則として一棟の家屋ごとに、倍率方式によって行うことになっています。
 倍率方式とは、その家屋の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて評価額を算出する方法をいいます。家屋の倍率は1.0倍となっています。したがって、一般的には、固定資産税評価額がそのまま家屋の評価額となります。
 ただし、建築途中の家屋の場合には、固定資産税評価額が付されていませんので、その家屋の費用現価の70%に相当する金額によって評価することになっています。費用現価の額とは、相続税や贈与税の課税時期までに、その建物に投下された建築費用の額を課税時期の価額に引き直した額の合計額をいいます。
 次に、その家屋が貸家(借家権の目的となっている家屋)である場合には、その家屋が自用家屋であるとした場合の評価額からその家屋に係る借家権の価額を控除して評価します。
 貸家を評価する際の借家権の割合は、国税局長が定めることになっています(財産評価基準書に記載されています)が、通常は30%(大阪国税局管内の市制地及び路線価地域は40%)となっています。したがって、家屋については、一般的には固定資産税評価額の70%相当額が、評価額となります。
貸家としての評価については、現に借家権の目的とされる貸家の用に供されている場合に限られますので、課税時期において空き家となっているような場合には、原則として貸家には該当しませんので注意する必要があります。
なお、門、塀等の設備や庭園設備については、固定資産税評価額の算定の基礎に含まれませんので、家屋とは区分して、別個に評価する必要があります。

 


共同企業体の消費税

 

 建設工事や土木工事では、複数の企業が共同企業体(ジョイントベンチャー)を組んで工事を行う場合があります。
 この共同企業体は、民法上の組合に該当しますので、法人税法上、共同企業体の損益は直接、その各構成員に帰属するものとして取り扱われます。
 消費税についても、共同企業体が行う資産の譲渡や課税仕入れは、その各構成員の利益の分配割合に応じて、それぞれの構成員に直接帰属するものとされます。
 したがって、共同企業体が請負工事の目的物の引渡しや建築機材等の購入などを行った場合には、それぞれ各構成員の利益の配分割合に応じて、各構成員が課税資産の譲渡等や課税仕入れを行ったことになります。
 なお、構成員が共同企業体に対して支出する出資金は、あくまでもその構成員の持分ですから、その支出の時点では、消費税の課税関係は生じません。

 

 

税金一口メモ
 譲渡担保と譲渡所得税

 債務者が債務の弁済の担保としてその有する資産を譲渡した場合において、その契約書に次のすべての事項を明らかにし、かつ、その譲渡が債権担保のみを目的として形式的にされたものである旨の債務者及び債権者の連署による申立書を提出したときは、譲渡所得税の課税上、その譲渡はなかったものとして取り扱われます。

@ その担保に係る資産を債務者が従来どおり使用収益すること

A 通常支払うと認められるその債務に係る利子又はこれに相当する使用料の支払いに関する定めがあること

なお、これらの要件のいずれかを欠くこととなった場合や債務不履行のため資産が弁済に充てられたときは、そのときに譲渡があったものとして取り扱われます。

 

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