本年の税制改正で消費税法に大きな改正がありました。適用開始が平成16年4月のため、まだ注目度が低いようですが、今後影響が大きいので、以下ポイントを整理してみます。
1)概要
現在、基準期間(2年前)の課税売上高が3千万円以下の事業者は、当期(年)の消費税の申告納付が免除されていますが、この基準が課税売上高1千万円以下に引き下げられます。
2)適用時期
この改正は平成16年4月1日以後に開始する課税期間から適用されます。
消費税の課税期間は法人については事業年度、個人については暦年が原則とされているので、法人は3月決算法人であれば基準期間である前々期は平成15年3月決算になりますから、この事業年度の課税売上が1千万円を超えていれば、消費税の申告納付義務があることになります。
これに対して個人事業者の場合は、平成17年分から適用されることになります。基準期間は平成15年になりますので、平成15年1月1日から平成15年12月31日の課税売上高が1千万円を超えていれば、平成17年分の消費税の納付義務が生じます。また、事前に課税事業者届出書も、提出する必要があります。
3)影響
この改正により、新たに約136万社(者)、現行免税事業者の約37%が課税事業者となるようです。
1)概要
現在、基準期間の課税売上高が2億円以下の事業者については、課税売上高にみなし仕入率を乗じて消費税額を計算する簡易課税制度が認められていますが、この適用基準が基準期間の課税売上高5千万円以下に改正されます。
2)適用時期
この改正もTと同様に平成16年4月1日以後に開始する課税期間から適用することとされています。
法人の場合は、3月決算であれば平成15年3月期の課税売上高が5千万円を超えていれば、簡易課税の適用は受けられなくなります。
個人の場合には、平成15年分の課税売上高が5千万円を超えていれば、平成17年分の消費税については簡易課税の適用は受けられません。
3)影響
政府税制調査会の資料によると新たに56万社(者)、現行簡易課税適用事業者の約53%が一般課税対象の事業者となります。
直前の課税期間の年税額が4800万円(地方消費税と合わせて6000万円)を超えると事業者は、消費税の中間納付を毎月(改正前、3月ごと)行なわなければならいこととなります。
納付すべき税額は原則として前年の確定税額の12分の1相当額です。
この改正により中間申告納付の仕組みは図表1のようになります。
なお、この改正は平成16年4月1日以後に開始する課税期間から適用されます。
図表1 中間申告納付制度(かっこの内は地方消費税込みの数字)
【改正前】 |
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【改正後】 |
〈申告納付〉 |
〈年税額〉 |
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年4回
〔確定申告1回〕
〔中間申告3回〕 |
400万円超
(500万円超) |
→ |
4,800万円超
(6,000万円超) |
年12回
〔確定申告1回〕
〔中間申告11回〕 |
→ |
4,800万円以下
400万円超
(6,000万円以下
500万円超) |
年4回
〔確定申告1回〕
〔中間申告3回〕 |
|
|
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|
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年2回
〔確定申告1回〕
〔中間申告1回〕 |
400万円以下
48万円超
(500万円以下
60万円超) |
→ |
400万円以下
48万円超
(500万円以下
60万円超) |
年2回
〔確定申告1回〕
〔中間申告1回〕 |
|
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年1回
〔確定申告1回〕 |
48万円以下
(60万円以下) |
→ |
48万円以下
(60万円以下) |
年1回
〔確定申告1回〕 |
1)概要
平成16年4月1日から、消費者に対して商品の販売等を行なう場合の取引価格表示には、消費税等を含めた金額の表示(総額表示)義務付けられます。
2)表示方法
表示方法としては次のようなものが考えられます。
@ 10,500円
A 10,500円(税込)
B 10,500円(本体価格10,000円)
C 10,500円(うち税500円)
D 10,500円(本体価格10,000円、税500円)
E 10,000円(税込10,500円)
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