☆ 祖父江修一税理士事務所 ☆

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2003年7月

 

 

目次

Onepoint 電子申告

金融・証券税制 見直しQ&A

みなし取得費

住宅借入金等特別控除

★税金一口メモ★ 相続税の二割加算

ワンポイント 電子申告
 
これまで書面による提出しか認められていなかった所得税や法人税等の申告や納税、申請・届出などが、パソコンを利用したインターネットでも出来るようになります。まず、来年2月から個人の所得税と消費税を対象に名古屋国税局管内の全税務署でスタートし、法人税も加えた後6月には全国に拡大する予定です。


 金融・証券税制 見直しQ&A

 証券税制の見直しが平成13年から始まり、14年、15年と毎年手直しが続いているため、わかりにくいという声が多く聞かれます。そこで、現時点での金融、証券税制をQ&A方式で整理してみます。

Q.
 
株価の低迷もあってか最近上場株式等の譲渡税率が下がったそうですが、どのように変化してきているのか教えてください。

A.
 
株式等の譲渡に係る所得については、昭和63年12月の税制の抜本的改正において、それまでの原則非課税から課税に改められています。課税方式としては、@確定申告により他の所得と分離して課税される申告分離課税と、A源泉徴収により課税関係を終了させる源泉分離課税の2つの制度とされていました。
 その後平成11年度に有価証券取引税及び取引所税が廃止されたことに伴い、株式等譲渡益課税について申告分離課税に一本化するため、源泉分離課税の廃止が決められました。実際には経過措置が平成14年12月31日まで続いたため、申告分離課税に一本化したのは平成15年1月1日からとなります。
 税率は譲渡益に対して26%であったものが平成14年改正で平成15年1月1日以後に上場株式等を譲渡した場合には原則として20%(所得税15%、住民税5%)となりました。ところが株価の低迷が深刻となっている経済状況から、平成15年度改正で、図表1にあるように、平成15年から19年までは10%(所得税7%、住民税3%)とさらに優遇しています。
 この改正は、預貯金等の利子に比べて高かった税負担を同じにするためのものですが、景況感が悪いので、5年間に限り税率をさらに半分にしたものです。
 なお、上場株式等以外の株式の譲渡益に対する税率は26%のまま変わっていませんので注意が必要です。

Q.
 
所有期間1年超保有の上場株式を譲渡した場合、年間100万円までの譲渡益が非課税になるという制度はどうなったのですか。

A.
 
平成14年度改正においては、期間限定の減税措置として、次の3つの制度が設けられました。
  @ 保有期間1年超の上場株式等の軽減税率(10%)
  A 保有期間1年超の上場株式等について、年間100万円までの非課税措置
  B 緊急投資優遇措置
 このうち、@とAについては、平成15年改正で譲渡税率が10%になったことに伴い廃止されています。

Q.
 
緊急投資優遇措置を教えてください。

A.
 
平成14年の株式新税制の目玉とされていたものであり、次の3つの条件を満たした場合、購入代金1千万円までの株式がどんなに高騰してもこれに伴う譲渡益をすべて非課税にする制度で、この制度は変わっていません。
  @ 平成13年11月末から平成14年12月末までに取得
  A 平成15年から平成16年は保有継続
  B 平成17年から平成19年の3年間に売却
 なお、@の取得額が1千万円以上で複数の銘柄に投資していた場合1千万円になるまで、銘柄、株数を任意に選択できます。

Q.
 
上場株式に係る譲渡損失の繰越はできますか。

A.
 
平成15年1月1日以後に上場株式等を譲渡したことにより生じた損失の金額のうち、その年に控除しきれない金額については、翌年以後3年間にわたり、株式等にかかる譲渡所得等の金額から繰越控除できます(図表2参照)。

Q.
 
上場株式等の配当に対する税金はどうなりますか。

A.
 
源泉徴収税率が図表1のように、平成15年4月1日より10%、平成16年1月1日より住民税にも配分するため所得税7%、住民税3%とする時限措置がとられます。

Q.
 
上場株式等の配当所得についての申告不用制度はどうなりましたか。

A.
 
従来は1回の支払が5万円(1年で10万円)以下の場合のみ申告不要が認められていましたが、平成15年4月1日以降、上限がなくなりましたので、どんなに高額でも申告が不要となります。
 もちろん、配当控除等申告をした方が有利な場合には申告をしても構いません。
 この改正により35%源泉分離選択課税の特例も廃止されています。また、平成16年から住民税についても申告不用制度が創設されます。

Q.
 
株式投資信託課税も変わっていますか。

A.
 
平成16年1月1日から平成20年3月31日までの間に支払を受ける収益分配金については、図表1のように上場株式等の配当と同様に10%の課税とされています。

 

図表1 上場株式等の譲渡益・配当課税の概要

  15年分 16年 17年 18年 19年 20年 21年以降
1月1日〜
3月31日
4月1日〜
12月31日
〜3月31日 4月1日〜
上場株式等の譲渡益課税 10%
(所得税7%+住民税3%)
20%
(所得税15%+住民税5%)
上場株式の配当課税 従来どおり
20%(35%)
源泉徴収
10%
(所得税)
源泉徴収
10%源泉徴収
(所得税7%+住民税3%)
20%源泉徴収
(所得税15%
+住民税5%)
株式投信の収益分配金課税 20%源泉徴収
(所得税15%
+住民税5%)
10%源泉徴収
(所得税7%+住民税3%)
20%源泉徴収
(所得税15%
+住民税5%)

図表2 譲渡損失の繰越控除

譲渡損失 →
譲渡利益 譲渡利益 譲渡利益
3年前 2年前 1年前 その年 1年目 2年目 3年目
譲渡利益
譲渡損失 → 譲渡損失 → 譲渡損失 → ↑↑↑

注1 繰越された譲渡損失は、その年の株式等の譲渡所得等のみからこうじょすることができ、他の所得(給与所得、不動産所得、事業所得等)との損益通算はできません。

注2 譲渡損失を繰越控除するには、損失が生じた年分以後連続して確定申告書(損失が生じた年分、損失の控除を受ける年分については一定の計算明細書を添付)を提出する必要があります。  

 


 みなし取得費

 

Q.
 
株式譲渡益に対する課税が申告分離課税に一本化されたことにとにともない、みなし取得費の特例が制度化されたそうですが、みなし取得費はどのような制度なのでしょうか。

 

A.
 平成15年1月1日から、株式譲渡益に対しては源泉分離課税が廃止され、申告分離課税に一本化されました。それに伴って、平成13年9月30日以前から引き続き所有していた株式等について、平成15年1月1日から平成22年12月31日までの間に譲渡する場合、譲渡所得を計算する際の取得費については、みなし取得費を適用することができます。
 みなし取得費とは、平成13年10月1日の終値の80%に相当する金額を言います。その金額に1円未満の端数が生じる場合には、切り上げます。
 みなし取得費は、取得価額の特例ですから、終値の80%に相当する金額に別途、購入手数料分を加算することはできません。
 なお、複数の証券取引所に上場している場合には、最も高い価格を用いて算定します。
 みなし取得費の特例は、実際の取得費がわかっているかどうかにかかわらず適用することができます。実際の取得費がわかっている場合には、実際の取得費(購入代金+購入手数料)を適用するか、みなし取得費を適用するかは、納税者が確定申告時に選択することができますので、いずれか高い方を選択したほうが有利です。
 なお、みなし取得費を計算する基になる「平成13年10月1日における上場株式等の株価一覧表」は国税庁のホームページでも公開されています。



 住宅借入金等特別控除

 

 住宅借入金等特別控除の適用を受けるためには、居住用家屋を新築等にして、居住の用に供し、かつ、その年の12月31日まで、継続して居住の用に供していることが必要です。
 したがって、いったん転居して居住の用に供さなくなった場合には、住宅借入金等特別控除の適用は受けられなくなります。たとえ、その後再び入居したときでも、再び住宅借入金等特別控除の適用は受けられません。
 ただし、勤務先からの転勤の命令その他これに準ずるやむを得ない事由によって、その居住用家屋をその者の居住の用に供しなくなった後、その転勤等の事由が解消し、再びその住宅に入居した場合には、一定の要件の下で、再入居年以後の年分について、再び住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます。
 この規定は、平成15年4月1日以降に居住の用に供さなくなった場合について適用されます。

 

税金一口メモ
 相続税の二割加算

 相続または遺贈によって財産を取得した人が、被相続人の配偶者、子、父母、(一親等の血族)以外の人である場合には、その人に対して課税される相続税については、算出税額に二割加算した金額となります。
 二割加算制度の対象とならない子には、実子だけではなく養子も含まれますが、被相続人の養子となったその被相続人の孫については、二割加算の対象となりますので、注意が必要です。
 ただし、その孫が代襲相続人である場合は二割加算制度の対象とはなりません。
 なお、二割加算後の金額がその人の相続財産の課税価格に相続税の最高税率を乗じた額を限度とする規定は廃止されています。

 

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