☆ 祖父江修一税理士事務所 ☆

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2003年9月

 

 

目次

Onepoint 質問検査権

源泉徴収Q&A

相続税 外貨建て財産等の邦貨換算

相殺の領収書の印紙

★税金一口メモ★ 非課税の通勤手当

ワンポイント 質問検査権
 
税務職員が、所得税や法人税に関する調査について必要があるときは、納税者に対して質問し、帳簿書類の検査ができる権利のことで、各税法に規定されています。源泉徴収義務者や金融機関などの反面調査にも質問検査権は及びます。なお、この権限は、犯罪捜査のために認められているものではありません。


 源泉徴収 Q&A

 源泉徴収については、契約形態が多様化・国際化したものや給与以外については難しく感じる人が多いようです。そこで迷いやすいポイントをQ&A方式で整理してみます。

 

T.給与所得と事業所得の区分

Q.
 
当社は建設業を営む法人ですが、毎月、労務の対価の支払をする際に、源泉徴収をする者と個人事業者ということで源泉徴収をしない者がいて、処理の基準があいまいになっています。実務上どのように判断すべきでしょうか。

A.
 
給与所得とは、雇用契約に基づき、雇用主の指揮命令に従って提供した労働の対価をいいます。これに対して事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ、反復継続するものとされています。
 具体的には、一般に次の図表に示す項目を総合勘案して判断し、給与所得に該当したら源泉徴収が必要となります。

判定 役務内容 判定

















NO

@当該契約の内容が他人の代替を容れるか YES
















YES
A仕事の遂行に当り個々の作業について指揮監督を受けるか NO
YES
Bまだ引渡しを終わっていない完成品が不可抗力のため滅失した場合等において、その者が権利として報酬の請求を行なうことができるか NO
YES
C材料が提供されているか NO
YES
D作業用具が供給されているか NO

 

 

U.退職時の取扱い

Q.
 
当社の役員であるAが8がつに死亡し、役員退職給与規定によりAの妻にAの死亡退職金を支払うことになりました。この支払にさして源泉徴収は必要でしょうか。

A.
 
退職金の支払に際しては、原則として退職所得に係る源泉徴収が必要となりますが、死亡時に支払う退職金については源泉徴収の必要性はありません。
 その理由として、死亡退職金は相続税法の規定により取得したものとみなされるため所得税はかからないからです。その代わり、被相続人に支払われるべきであった退職金で死亡後3年以内に相続人等に支払われるものは相続税が課税されることになっています。

Q.
 
退職金の源泉徴収はどのように行なえばよいですか。

A.
 
まず、退職金に該当するかどうかを判定し、退職金であれば他の所得と分離して所得税の源泉徴収をします。
 退職所得は、その年の退職金の収入金額から、その人の勤続年数に応じた退職所得控除額を差し引いた残額の2分の1について課税されます。
 退職金を受け取る人は、支払を受けるときまでに「退職所得の受給に関する申告書」を提出すれば、支払者が所得税を計算して退職金から差し引いて納付します。
 もし、この申告書が提出されない場合は、退職金の収入金額から一律に20%の所得税が源泉徴収され、この源泉所得税は、確定申告で精算することになります。
 なお、退職所得の受給に関する申告書には、退職者の勤続期間の記入欄があり、この勤続年数により、退職所得控除額が異なります。2ヶ所以上から退職金をもらうとき、これまでに退職金をもらったことがあるときなどは、勤続年数の計算が難しいので注意が必要です。

【退職所得控除額】

勤続年数 退職所得控除額
20年以下  40万円×勤続年数(最低80万円)
20年超  800万円+70万円×(勤続年数-20年)

※勤続年数のうち1年未満の端数があるときは「1年」として計算します。
※障害者になったことに直接起因して退職した場合は、別途100万円が加算されます。

Q.
 
当社は業務の縮小に伴い、社員を解雇することになり、解雇予告手当を支払いました。この取扱はどうなりますか。

A.
 
労働基準法の規定により、使用者が労働者に対し30日前に予告しないで解雇する場合には、30日以上の平均賃金を支払わなければならないものとされており、この規定に基づいて支払われた予告手当は、退職を基因として支払うものなので退職手当等とされます。

 

V.外国人労働者の取扱い

Q.
 
当社は製造業ですが、外国人労働者を雇う場合の源泉徴収について教えてください。

A.
 
国籍ではなく、次の「居住者」か「非居住者」かにより、課税方法が異なります。

@ 居住者
 居住者とは、国内に住所を有するか又は国内に引き続き1年以上居所を有する個人をいい、この場合には、給与について日本人と同様に源泉徴収され、年末調整も行なわれます。

A 非居住者
 非居住者とは、居住者以外の個人をいい、1年未満の予定で滞在している外国人や、日本人でも、国外に引き続き一年以上居住している人が該当します。
 この場合には、給与の20%を源泉徴収されて課税関係が終了し、年末調整で過不足の精算をすることができません。

W.源泉徴収税額表の見方

Q.
 
給与所得の税額表のうち、月給方式で支払う月額表の見方は理解できるのですが、日割りで支払う給与や日ごとに支払う給与に用いる「日額表」の見方がわかりません。説明してください。

A.
 
源泉徴収税額表(日額)の中の甲欄・乙欄・丙欄は次のように区分されています。

甲欄

『給与所得者の扶養控除等申告書』を給与の支払者に提出している者はパート等も含めて適用

乙欄 『給与所得者の扶養控除等申告書』を給与支払者に提出していないもの(日雇い丙欄適用者除く)が対象
丙欄 @日々雇用されるもの、またはAあらかじめ定められた雇用期間が2が月以内である者に対して日額又は時間給により計算して支払う給与に対して適用

 



 相続税 外貨建て財産等の邦貨換算

 

Q.
 
わたしは、この度、父が死亡したことにより、財産を相続しましたが、その中に外貨預金や外国の不動産があります。
 これらの財産の邦貨換算はどのように行なえばよいのでしょうか。

A.
 
相続財産の中に、外貨預金などのように外貨建てによる財産がある場合、または外国の不動産のように国外に所在する財産がある場合には、その財産の外貨による評価額について、邦貨換算する必要があります。
 邦貨換算する際の為替相場については、原則として、納税義務者の取引金融機関(外貨預金などのように取引金融機関が特定されている場合には、その取引金融機関)が公表する課税時期における最終のTTB(対顧客直物電信買相場)によることになっています。
 納税義務者の取引金融機関が複数ある場合には、それらの中から納税義務者が選択した金融機関とすることができます。
 課税時期が金融機関の休業日等にあたり、TTBがない場合には、課税時期に最も近い日のTTBによることになります。
 なお先物外国為替契約を締結していることによって、その財産についての為替相場が確定している場合には、その先物外国為替契約により確定している為替相場によることになります。
 ただし、選択権付為替予約契約について、課税時期においてまだ選択権を行使していない場合には、その財産についての為替相場が確定していませんので原則どおり課税時期における為替相場によることになります。
 また、外貨建てによる債務がある場合には、その債務のほうか換算については、TTBではなく、TTS(対顧客直物電信売相場)によることになります。


 相殺の領収書の印紙

 

 領収書(金銭の受取書)を作成した場合には、印紙税法に規定する収入印紙の貼付、消印が必要となります。
 ところで、債権と債務を相殺した場合において、その事実を証明する方法として領収書を作成することがありますが、この場合の領収書については、領収書として表示がされていても、実際には金銭の受領事実はありませんので印紙税法上の領収書には該当しません。
 ただし、たとえ相殺の事実を証明するために作成された領収書であっても、相殺であることが文書上明らかでないときには、印紙税法上の受取書に該当することになりますので、注意が必要です。
 なお、一部の金額については相殺し、残額を金銭で受領した場合の一部相殺の領収書については、その区分が明確にできれば、相殺した金額については受取金額には当らないものとして印紙税額の計算を行なうことになります。

 

税金一口メモ
 非課税の通勤手当

 サラリーマン(給与所得者)がその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に当てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当のうち、その者の通勤に係る運賃、時間、距離等の事情に照らしもっとも経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃等の金額については、所得税は非課税とされています。
 ただし、非課税限度額は月額10万円です。
 なお、最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃等の額には、新幹線通勤の場合の特急料金も含まれますが、グリーン料金については、含まれませんので注意する必要があります。

 

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